軽量5エレF9FTを製作してみました。
「5エレF9FTは性能が良い」と言う話を良く聞きます。そこでこのアンテナを山岳移動用に作成してみる事にしました。また、当然私が作るのですから「収納時の小型化」と「軽量」と言う味付けつきです。
まず、オリジナルの5エレF9FTのデータを元にJA1WXB松田氏の作成した「アンテナ特性解析プログラム MMPC for Windows95」を使用して性能を計算させてみました。
このアンテナ特性解析プログラムと言うのは優れ物です。アンテナを作ってみなくても各種データを得ることができます。一度使うと手放せなくなる一品です。
<MMPC用のアンテナデータです(自己解凍ファイル)>
<オリジナルのF9FT>
次に軽量化として、水平部分のエレメントの素材を直径15mmから直径8mm肉厚0.5mmに変更し、ブームには直径16mm肉厚1mmのアルミパイプを使用する事にしました。強度的にも移動での使用なら肉厚0.5mmでも直径8mmあれば問題はないでしょう。
次に、このアンテナのスペックを求める為に、ベースデータの補正値を計算させました。方法は、まずエレメント間隔は不変としました。エレメント長については、パイプの太さによって短縮率が違ってきますので、まずはオリジナルのリフレクタだけを取り出してダイポールとしてシミュレーションを行い、リアクタンスが0となる周波数、つまり共振周波数を求めます。次にパイプの直径を8mmに変更し、長さをそのままにしてシミュレーションするとリアクタンスが生じるはずです。そこでエレメントを長くしていきリアクタンスが0になる長さを求めます。この長さとオリジナルの長さの比を計算し、残りのエレメントをこの比率で長くします。それによって求めた結果が下記のデータになります。
<軽量化したF9FT>
部品名 | 数量 |
エレメント | |
直径8mm 肉厚0.5mm 長さ1000mm のアルミ丸パイプ | 15本 |
直径7mm 肉厚0.5mm 長さ1000mm のアルミ丸パイプ | 2本 |
直径2mm 長さ 10mm のネジ | 27本 |
エレメントクランプ 第一電波工業(株)のUHFアンテナ用の物を使用 | 5個 |
ケーブルストッパ | 6個 |
水糸 約1500mm | 1個 |
熱収縮チューブ 約750mm (直径8mm以上の物を使用) | 1本 |
給電部 | |
直径3mm のアルミ丸パイプ 450mm | 1本 |
直径5mm 肉厚1mm のアルミ丸パイプ 20mm | 1本 |
メダマクリップ SMC-5 (豆) | 2個 |
幅10mmの板アルミ 40mm | 1個 |
プラスチックケース W30 X H20 X D40 | 1個 |
直径2.6mm 長さ 20mm のネジ(給電部に使用) | 2本 |
直径3mm 長さ 10mmのネジと蝶ナット | 2個 |
BNC型コネクター (固定用のネジ少々) | 1個 |
給電部用に銅線などを少々 | 少々 |
ブーム | |
直径 15mm 肉厚 1mm 長さ 2000mm のアルミ丸パイプ | 2本 |
直径 18mm 肉厚 1mm 長さ 1000mm のアルミ丸パイプ | 1本 |
5mm 用破損止 (外径8mm のアルミチャネル) | 1本 |
3mm 用破損止 (外径6mm のアルミチャネル) | 1本 |
直径2.6mm 長さ 20mm のネジ | 4本 |
直径2.6mm 長さ 27mm のネジ | 4本 |
直径2mm 長さ 10mm のネジ | 4本 |
マルカンボルト M4 X 30mm | 4本 |
熱収縮チューブ、紐など | 少々 |
その他 | |
接点復活剤、導電性コンパウンドなど | 少々 |
145mm 285mm 330mm 1本目 ==== ======= ======== (後での調整用に少し長めです) 205mm 205mm 275mm 275mm 2本目 ====== ===== ====== ======= (後での調整用に少し長めです) 500mm 500mm 3〜15本目 ========== ========== (500mm は25本作成)
パイプの構造は、紐を引っ張ることにより1本のエレメントになる用に作成します。この方法は、テントのポールなどに使用されているジョイント方法と同じ仕組みで、私が一貫して使用している作成方法です。詳細の作成方法は「軽量エレメントの製作方法」を参照してください。
最後に完成したエレメントを伸ばした状態で長さを計り、長い分をカットします。(ジョイントによる誤差の調整をします)次にエレメントの中央に、エレメントクランプとの隙間補正(内径約10mmなので差約2mm)用に熱収縮チューブを被せます。
1445mm 給電点 1445mm ===================● ●================== 直径 8mm | | 間隔は18mm ====================================== 直径 3mm 450mm
給電部分は、オリジナルで使用しているベータ・マッチで作成してみました。 制作方法の詳細については「給電部分の製作方法解説」を参照してください。
ショートバーの位置は色々試して見たのですがほとんど変化無く、450mmのパイプの両サイドでOKでした。この状態で、中心周波数が50.6MHzで50.1〜51.0MHzまでの間でSWRが1.3以内になりました。 (^_^;)
意外に広範囲にマッチングするようです。これなら、SSBからRTTYまでこのアンテナ1本で運用可能になります。
770mm 700mm 700mm 600mm 700mm ======= ====== ====== ===== ====== ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 1350mm 950mm 590mm 530mm エレメント間隔
ブームには直径15mm肉厚1mmのアルミパイプを使用し、ジョイント用には18mm肉厚1mmのパイプを使いました。各パイプの長さは、持ち運びを考えて 770mm、700mm、700mm、600mm、700mm の5本で構成されています。製作方法の詳細については「
ブームの製作方法解説 」を参照してください。
完成後計量してみたら、マストクランプの金具など全てを含めて約1200gでした。重量的には、ほぼ目標を達成しました。(写真のアンテナはネジ止めを必要としないブームを使用しています)
<各部品の写真>
(組み立て方法の説明)
<実戦で使用中の5エレF9FT>
<5エレF9FT自作局の紹介>
[JF6LIU/1 冨樫さんのアンテナです]
製作記事は「http://www.cqcqcq.org/testji/50mhzf9ft/index.html」をご覧ください。