山岳移動におけるAPRS

ハンディ機のカタログスペックを見ていたらAPRSシステムなるものがある事を知りました。これを調べてみると

APRSとは?
APRS (英語: Automatic Packet Reporting System)とは、アマチュア無線を用いた位置情報発信システムです。
 これはアマチュア無線のAX.25パケット通信を使って北緯何度、東経何度という位置情報をベースに、様々な情報を送受信し合う グローバルでリアルタイムなパケット通信システムです。APRS運用局が送受している情報としては、移動局や固定局の位置と情報、 気象情報、オブジェクト情報、メッセージ交換、電子メールなどがあります。これらをアマチュア無線機&インターネットを介して リアルタイムに共有するシステムです。
 GPS付き無線機から自己の位置情報をパケット化し、デジピート局経由もしくわ直接IGATE局(無線とインターネットのゲートウェイ局) まで決められた周波数のFM電波に載せて飛ばします。IGATE局で受信した位置情報は インターネットでAPRSサーバーに送られます。 APRSサーバーまで送られた情報は、Googleマップ(http://aprs.fi/)で表示され、移動軌跡等として誰でも簡単に閲覧出来ます。

では、山岳移動での利用方法は?
 APRSシステムのインターネットでの位置情報システムの利用です。自分の信号をIGATE局まで届けられれば、 インターネット上の Googleマップに表示されます。これにより登山行程が地図上に表示されますので、 もし遭難した場合、遭難場所(電波が到達した最終ポイントですが)などを知らせることもできます。 また無線機どうしでの通信も可能なので、近くにいる登山者の位置(方角及び距離なども)とコールサイン等も知ることが出来ます。これによって遭難事故防止及び救助活動等に活用できるのではとないかと言う意見もあるようです。私的には、山行記録と合わせて、運用場所(山頂)の位置をお知らせする事ができるという事。そして、遭難した時に助けてもらおうと言う甘い考えです。

2018年からハンディ機で運用開始
APRSビーコンを出すために、KENWOOD の 140/430MHz デュアルバンダーの「TH-D74」を移動セットに投入しました。これ以降の山行では、必ず ビーコンを出すようにしていますが、なかなか山行中の信号は、IGATE局まで到達しません。色々な周波数(144.64MHz、144.66MHz、431.09MHz)も試してはいるのですが、関東では混信が多いのか微弱なハンディ機の信号では山行中の信号を送るのはなかなか難しいようです。山頂でワッチしてみると、沢山の信号が見えますので微弱なハンディ機の信号ではIGATE局まで到達させるのは難しいのでしょう。
  そこで2020年からスマホ(APRSdroid)を投入してみました。スマホなら携帯の電波が見えるところなら必ず Googleマップにポイントを表示する事ができます。山の中だと何処でも携帯が使えるわけではありませんが、登山口なら何とか電波が届く事は多いので足跡を残すことはできます。

 写真は、東京都檜原都民の森にある砥山への山行時のGoogleマップでの表示例です。
本来ならJR1NNLは時系列で線で結ばれるのですが、登山口が「JR1NNL-5 (携帯)」で山頂が「JR1NNL-7(無線機)」なので同じ機器からの信号ではないので線では結ばれません。
 無線機は登山口出発時点から 144MHz(2W)でビーコンを10分に1回出すように設定してあるのですが、IGATE局に到達したのは山頂からのビーコンのみと言う結果でした。



1)APRS設備1(無線機)
2018年から、KENWOOD の 140/430MHz デュアルバンダーの「TH-D74」を移動セットに投入しました。アンテナはDIAMOND の「SRH771」を使っています。この無線機の特徴は0.1MHz〜524MHzの広帯域受信機能を持ち、AM/FM/WFM以外にSSBやCW受信も可能な点です。 そしてAPRS&D-STARに対応しています。

本体への基本設定ですが、自局のコールサインは JR1NNL-7 と”-7”の徒歩をしていします。アイコンも当然人のアイコン(Person)を選択します。ビーコン間隔は10分を選択しています。山行では平地を歩くようなスピードでは進まないのでこれくらいの間隔が妥当でしょう。問題は周波数と速度ですが全国的には144MHzの2波が使用されています。
  144.64MHz / 9600bps、144.66MHz / 1200bps、431.09MHz / 9600bps
関東では、高尾山に 431.09MHzのデジピータがありますのでこの周波数も捨てがたいです。
【 基本設定 】
■コールサイン
自局のコールサイン+「-7(徒歩)」をしています。
■アイコン(シンボル)
これは人のアイコンを選べます。
■ステータス・テキスト
メッセージは山行(SANGAKU IDO Listening Now)とその他(Walking Listening Now)で変更しています。
■QSY情報
これをONにするとステータス・テキストに自動的に音声通信用に設定した周波数が埋め込まれるので最近はONにしています。
■ビーコン送信間隔
山行なので10分を設定しています。
受信した相手局の情報や気象局の気象情報です。


2)APRS設備2(携帯)
Android機で本格的なAPRS運用が楽しめるアプリケーションです。外国産ですが、アプリ表示言語は日本語表示にも対応しています。
入手は Google Play で入手できます。

[ 主な特徴 ]
・Google Map APIを用いた地図上プロット(リアルタイム)を実現。
・メッセージ送受信
・SmartBeaconing(TM)に対応。
・生パケットの表示が可能。
・TCP / UDP(送信のみ) / HTTP(送信のみ) / Bluetooth TNC / KENWOOD GPS port($PKWDWPL形式) / AFSK IN OUT(ver.1.20〜) 等の接続方式に対応
【 APRS設定 】
下記の項目を除いては基本ディフルトのままでOKです。

■コールサイン
自局のコールサインを記入

■SSID (運用識別番号)
ネットワーク接続環境(スマホ)では【-5】を選択

■APRS接続設定
APRS-ISパスコード(5桁の認証番号)を取得して設定します。
所得方法は、「パスコード申請」のボタンをおして登録画面をだして発行してもらうか、日本語での発給処理を希望する場合は「AGWTracker メッセージ送信用 5桁番号 無料発行(http://www.suny.jp/Ham/AGWT-Password.html)」を利用すると日本語で行えます。

■APRSシンボル
ディフオルトは「電話マーク」なのでこれは「人間」に変更しました。(好みの問題でしょうが)


ほるす(後藤 @ JR1NNL )